Only the one who he believe are in the world


遅くなりましたが、ASASの感想です。

 

プレイ順は、欲望のままに走ってカミュA・B√→藍ちゃんA・B√です。ロックとからあげはまだ終わっていません。

 


例のごとくですが、ネタバレ・考察・個人の感想になります。自分でプレイしたいって方はぜひぜひ自分自身の目でカルナイをみてみてね!

 


実は、ASのカミュ√が終わった時点でネタバレを読んでいたのです。

カミュ春があまりにも性癖すぎるので、このふたりがAS後どうなるのかとおもいネタバレをみてみたのですが、ASプレイ後思っていたことが公式となっていて卒倒しました…。なにこれ…なにこれ、とおもいながらプルプル震えていました。

 

 

ここからは作中のはなしをします。

 

ASから一年後、カルナイはまたもやシャイニングに呼び出されます。とは言っても、シャイニングが呼びだしたのはカルナイだけで、ミューズはなぜここにいるの?と訊かれて分岐が始まるのですが、おそらくこれ、嶺二以外を選択するとほぼ確実に嶺二からの野次がはいる。嶺二の時は当然のごとくウザがられる。

 

からかう嶺二をさらっと流したところで「俺が私情を持ちこむわけなかろう」と言うカミュに「わ、わたしもカミュ先輩と一緒にいたいなんて全然思っていません!公私混同していません!」と春歌が言うのですが、それにあからさまに動揺するカミュ。わかりやすい。わかりやすいぞ。

 

二人はさっそく曲作りをはじめるのですが、実はAS後に社長命令で同居を解約していました。事務所の恋愛禁止令はここでも生きるみたいですねー。この日は互いにオフのため、カミュの家(もとい塔)で打ち合わせをしようと話をします。

 


打ち合わせなど必要ないと言っていたカミュが!(マジレボ6話参照:この回すごくカミュ春なのでぜひみてください)

 

しかし、このカミュ。序盤からすごいです。春歌にベタ惚れです。デレ具合がASの比じゃない。

 


例えばこんなシーンがあります。

 


せっかく二人きりで家にいるのに、なかなか名前を呼ばない春歌に名前で呼べと言うカミュ

前に名前を呼んだときにしたことを思い出してしまうからと言う春歌!

とぼけてみせるカミュ

恥ずかしがる春歌!

ここには貴女と私だけですよって言うカミュ

我輩もいると鳴くアレキサンダー

 


どうですかこの可愛がりっぷり。ダブルフェイスの有効活用です。

 


アレキサンダーが遊びたそうだから外にいきましょう。なにか軽いものを作りますね、と言って春歌が離れようとすると、その腕をひっぱってカミュは言います。(ここからはまえのボイスでお楽しみください)

 


「犬とは、主人に情けをかけてもらえればあのように喜ぶものです」

先程、アレキサンダーにかけられたような慈悲をこのカミュには下さらないのですか?」

夜までずっといますから、と答えると、

「いいこだ」

と、ちょっと意地悪な笑い方をしてちゅーされ、

「では、今はこの甘い唇だけで許して差し上げます」

と言い、夜って言ったじゃないですか!と言うと、

「待てが、出来ず申し訳ございません。ご主人様」

 

 

なんですかこのプレイ。

 


あの、あのですね。カミュのほんとうにずるいところはこのダブルフェイスを持っているところとのそのギャップだとおもうんですよね。やさしい紳士な執事と誇り高き伯爵。その温度差が、温かさと冷たさが産むがギャップがすごくくるというか、やさしくしたあとで、甘く攻められ、その後またすぐにやさしくされる…。なんだろうこれ、すごくいいです。こんなことされたら誰でもそうなっちゃうとおもいます。


 

森のなかでピクニックをしながら、どんな曲がいいですか、と春歌が訊くとカミュはこう答えます。

 


「お前が俺をイメージし、俺だけのために作った曲をもう一度歌いたい。……身勝手か?」

 


なんということでしょう!!!!あのカミュが!!!(Cv.セシル)

 

 

ASの前に発売されているDBでカルナイの性格がそれぞれ垣間見えるんですが、カミュは「音楽をただの道楽。娯楽」だとおもっているんです。音楽などの所詮その程度。仕事だからアイドルをしているだけで、それ以上でもなんでもない、と。

スタリと比較するとよくわかるのですが、スタリのメンバーはそれぞれが「なぜアイドルになりたいか」がきちんと描かれています。ひとを笑顔にしたいから。ただ歌いたいから。それぞれがどう音楽に向き合い、アイドルとしてどう活躍したいかがきちんと描かれています。

対して、嶺二は「アイドルそのものが好き」で、蘭丸は「なにをなくしても音楽だけは捨てられなかった」で、藍ちゃんは「歌うことが存在証明」でありますが、カミュは音楽をなんとも思っていなければ、アイドルになりたくなったわけではありまません。

ただ、仕事だから。情熱も憧れもありません。

 

そのカミュが「春歌がイメージした、俺だけのために作った曲を歌いたい」なんて…。歌いたいという気持ちが芽生えたんだとおもうと、ほんとうに変わったんだな、とおもいます。

しかも、俺をイメージした!!!俺だけのために作った曲なんて!!!!!すっごいわがままです!!!しかしそれがいい。我がまま大事。

 

それを訊いた春歌はすぐに曲作りに取り掛かります。叩き台となるものができあがり、カミュにお披露目することになります。

 

 

久し振りに訪れた塔。ドアを開けると、そこには恭しく給仕するカミュがいたのでした。

 


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「せめてお嬢様の励みになればと、僭越ながら、このカミュ、おもてなしの準備をさせていただきました」

 


あっ…このスチル、すごく…好きです。


 

無類の眼鏡好きのわたしですが、カミュの眼鏡姿も好きです。ここでまず性癖が爆発する。

さらにラフな装いのスーツ。スーツ!わたしはスーツも好きです。二度目の性癖攻撃。

そして!!給仕!!!アフタヌーンティー!!!とっても素敵です。一気に性癖が誘爆。

最後に!!「このカミュ」!!!「このカミュ」!!!この言い方好きです、はああ主従厨の血が騒ぐ。性癖大爆発。


 

すごいです。たった一枚のスチルでここまで性癖を突いてくるなんて…。カミュ春恐るべしです。

 

お前の手作りにはかなわぬがどれもなかなかの味だ、とか言ったり、口移しでイチゴのケーキを食べさせてきたり、とか、カミュやりたい放題です。すごい。すごいデレてる。そいやってカミュと春歌は楽しい午後を過ごします。

 


しかし、ミューズはある壁にぶち当たります。この曲にはなにかが足りない。物足りない。でも、なにが?

 

そして、あることに気付きます。わたしはシルクパレスのことをなにも知らないし、シルクパレスにいた時のカミュ先輩のことも知らない。

シルクパレスの資料を読んだりカミュに話を聞いたりしますが、カミュの話はただ外海から周りをみたことだけで、なにがあってどう思ったのか、とか、どうなってどう感じたのか、とかが一切ありません。

初めて自分の思い通りの音色が弾けたこと、馬に乗れるくらいになるまで背が伸びたことは記憶に残っているが、それ以外にはない。俺の幸せは陛下と共にあるのだ。俺個人の幸せなどない、と。俺よりも陛下のほうがつらかったのだから、と、自分の心をおもんぱかることなく、カミュはそう言います。 そんなカミュが哀しくて切なくて愛しくて、今はわたしがいますから!と春歌は言い、役に立てないことを詫びると、家に帰れば愛らしい恋人がおり、こうしてお前の淹れた茶を飲むのが幸せではないわけがあるまい、とカミュは春歌を宥めます。

 

もっとカミュ先輩のことが知りたい。もっと近付きたい寄り添いたい、とおもっていたところに、カミュの部下から通信がはいります。部下さんなら知っているかも、とおもい話を聞きますが、国は、春歌をシルクパレスを救うためのただの道具としかおもっておらず、いつシルクパレスにくるのか、いつ結婚するのか、カミュもアイドルなんか辞めてシルクパレスに戻るべきだ、作曲はシルクパレスにでもできるのだから日本にいる必要はない、とおもっていることが判明します。

 

アレキサンダーのお茶目な計らいで、仕事を中断してカミュが帰ってきます。(あのカミュが仕事を中断させて帰ってくるなんて!!!)お前はなにも心配しなくてもいい、と言うのですが、部下が春歌も国にくるように言っていた、と話すと、突然顔色を変えて、それからしばらく会えない日々が続きます。


 

そして、やっと会えたとおもったら「シルクパレスに行くぞ」

 


………………………………。

 


あの、あのですね。敢えて言いますけど、説明もなしに勝手に決めるのはどうかとおもうよ????急にシルクパレスに行くとか。悪魔で海外ロケだからと言っても、民俗音楽の取材でいくからミューズとは扱わないからと言っても、それが春歌の安全を考慮したものだとしても。相談とか打診はないのかい。

 

説明もなしに勝手に決めるのはカミュの悪癖です。だめですよ、もう!

 

そして、ロケの都合でからあげをつれてシルクパレスに入国するのですが、言葉がわからない春歌は「これを持っていれば言葉が通じる」と言われた石をどこかに落としてしまいます。

それを待っていたかのようにして暴漢に襲われてしまい、カミュに助けられます。

 

…………これでもかと言うほど伯爵の威厳と誇りをみせるカミュ

 

余談ですが、普段とても冷静なひとが自分の大事なものを傷つけられた時の激昂というか、怒りに我を忘れてしまうっていうのがすごく好きです。「お前の隣にいる資格を失うような真似はしない」と言ったりするのも好きです。(カミュは言った)その後の、失うかもしれないという恐怖に耐えられなくて、その存在を確かめるようにぬくもりを奪い合うっていうのもの好きです。

 

はい、性癖です。

 

話が逸れました。


 

無事、伯爵家が所有している館に戻ると「怪我はしていないな?真実、無傷だな?もう一度よく顔をみせろ」と言ったり「触れないと安心できないのだから俺も弱くなったものだ」と言ったり柱の後ろに隠れてでも早くチューしたかったりと、もうべた惚れです。

しかもそのちゅーをからあげに邪魔される始末。こんがり揚げるぞ。

 


それも束の間、ついに部下から直接言われてしまいます。

あなたの音楽にはシルクパレス全土、国民すべての生活がかかっているというのに、なぜシルクパレスにきたくないなどとのわがままが言えるのか。カミュ様の恋人でなければお前など必要ないのに、と。

ここで少し、シルクパレスという国がどういった国なのかに触れておきます。

まず、シルクパレスでは女王が神格化されています。国全土が吹雪に覆われ永久零度に覆われているシルクパレスでは、人々を吹雪から守るために、代々魔力を持った女王が国を守ることによって平和が保たれてきました。

しかし、現在の女王は歴代の中で一番魔力の力が低く、国を守る力も不安定です。その為、国は女王の魔力を回復できる方法を探していたのですが、その方法が、ミューズ春歌の曲を愛を持ってカミュが歌うことでした。これをすることによって女王の魔力は回復し、国自体が平和になります。この辺りはASで判明しました。

くわえて、シルクパレスは階級制です。公爵や伯爵などといった階級が未だ存在しており、身分がはっきりしています。身分の低いものは高いものには逆らえず、身分の高いもののなかでも相手を蹴落とそうとすることがあります。よって、クーデーターやテロのようなものなどもあり、情勢はとても安定していると言えたものではありません。

カミュは、女王と年が近いこともあり幼い頃から女王の苦悩をみてきました。国を守るために結婚もできず外にできることもできずに、ひとり氷の宮殿で耐えている女王のためになんとか力になりたいと心を砕いてきました。伯爵でもあるため、国に一大事のことがあればすぐに戻らなければならない立場でもあります。

そういった国であること、それでもカミュは祖国や女王を愛していることを春歌はわかっています。

部下がそう言っていた、と訊いたカミュは、すべて俺が解決するから、お前は自分の夢だけ追いかけていればいい、と言います。

 

だけど、そうはできないのが春歌です。

襲われた時に訊いてしまったのですけど、お兄さんがいるとはほんとうですか?と言う春歌に、知りたいのならば名前を告げて命じろ、とカミュは言いますが、大切なことだからあなたの意思でききたい、と言います。

その答えにカミュは少し悩むと、なにかを決意したかのように言います。

兄はいる。しかし異母兄だ。母には父と結婚する前に想っていた相手がいて、その男の子だ。母は俺を産んだことで想い人と結ばれることを許された。俺が爵位を継いだ時点で正式に縁を切っている。

それに、父が外で産ませた弟もいる。貴族のなかで愛情を持って結婚することなど稀なことなのだ、と。

この時のカミュは、ほんとうはそんなことを言うつもりはなかったのだろうとおもいます。春歌が知っている世界と、カミュのいる世界はあまりにも違いすぎている。境界がある。カミュにとってはあたりまえのことでも、春歌にとってはそうではないだろう、と。それを知って、春歌がかなしむのではないか、傷つくのではないか、と。本心ではそう考えていたのではないかとおもいます。

だから「俺はなににおいても伯爵家のカミュでいなければならないのだ」と、カミュは言います。「でなければ、父の誇りも母の犠牲も兄との争いさえも、無為なものになるだろう」と。それを無駄にしたくないから、無駄にしてはいけないから、と。そうでなければ誰も報われない、と。思いやっているのです。名前ではなく息子としか呼ばなかった父を、一度も会ったことがない母も、爵位争いで縁を切った異母兄のことも。

わたしは常々おもうのですが、シルクパレスで貴族の嫡男として産まれた以上、カミュに選択の余地はなかったのだろうとおもいます。生まれた時からすでに生き方は用意されていて、そうなるように環境や周りから育てられて、そうするしかなくて、そうしないと生きていけなかったのだろうおもいます。

仕方なかった、で、すまされることではないと思うのですが、選択する余地もなく自由もなくただ決められた人生を生きていくことは、とても過酷なことだとおもうし、それらすべてわかっていて、用意された自分の運命を受け入れ、あまつさえ全うしようとするカミュは強い人だとおもいます。

 

観光の最中、カミュは春歌をある場所につれていきます。祈りの間のひとつ「青の間」と呼ばれる場所。女王に祈りを捧げる間です。


そこで、カミュは言います。


 

「伯爵家の子息ではなく女王の剣でもない俺が知りたいとお前は言ったな」
「子供のころ、空いた時間は常にここで過ごした。お前の知りたい俺は、きっとここにいたのだろう」
「ここに、ずっといた」
「ここにいれば、俺が、どこにもいなくなる。伯爵家の子息でも、女王の剣でもない俺などどこにもいない」

 

春歌は、とてもさみしかったのだろうとおもいます。俺に子供時代などはなかった。周りの大人と同水準のものを求められて、それに応えてきた。子供だからと言って許されることはなかった、と言うカミュも。俺はなににおいても伯爵家のカミュでいなければならないのだ、と言ったカミュも。失いたくないから。汚したくないから、だから、安心して先に帰っていろと言うカミュも。とてもさみしかったのだろうとおもいます。同じ気持ちのはずなのに、想う心は同じなのに、心だけはすれ違ってしまう。寄り添っては離れ、離れては寄り添って、やさしくして置いていく。一緒にはいられない。ASでは「国のことなどお前には関係ない」と言っていたカミュが、ASASでは「国のことは俺がなんとかする」と言う。これは俺の問題だ、お前は作曲していればいい、と。お前は自分の夢だけ追いかけていればいい、と言ってやさしく突き放す。一緒にいたい。一緒に乗り越えたいのに。

 

春歌は言います。一緒にいたいです。パートナーなんですから、わたしにもちゃんと力にならせてください。家族も友人もすべて捨てて、あなただけになれます、と。 そう、春歌が言えば言うほど、カミュも不安になっていったのだと思います。それは嬉しいけど、でも、お前を失うわけにはいかない。お前を幸せにするのだと決めた。お前の幸せがここにあるとは思わぬ。

 

そして、カミュは「クリスザード」という名前が本来の名であることを告げます。

 
「捨てたはずだったのだぞ。ここに、ずっと昔に置いていった。もう二度と誰も呼ばないと思っていた」

「子供時代などないとおもってきたが、俺はずっとここにいて、お前に見つけてもらうまでは眠ってでもいたのだろう」

「お前は俺の子供時代を知りたいと言ってくれた。俺の名前を呼んでくれた。俺を……必要としてくれた」

「役に立てないなど、とんでもないことだ。お前が俺に与えた幸福がわかるか?」
 


一個人として必要とされる喜び。爵位でも身分でもなく、ただのカミュとして必要とされる喜び。ほんとうの名前を呼んでくれたこと。それが、今までずっとカミュが欲しかったもので、みつけてほしかったもので、それがカミュにとっての本来の幸せであったのだろうとおもいます。

「わたしは大丈夫ですから、あなたの好きにあなたのしたいことをしてください」と言う春歌に、カミュは少し考えさせてほしい、と言います。

やがて、誰かの陰謀によって帰りの航空券が用意されていないことがわかり、カミュと春歌を置いて取材班やからあげは先に帰ることになります。

 

そして、カミュは意を決したように「俺がこれからなにをしても黙って従ってくれるか」と春歌に言い、事務所に電話をかけたあと、女王に謁見すると言います。

 

女王と謁見をし、春歌の新曲ができたことを報告すると「伯爵の位を返還する」と言います。


 

「私はこの国を去ります。二度と戻ることはございません」

「伯爵家の子息でありながら愛に溺れ、滅び行く祖国を捨て、仕えるべき主君を氷の牢獄に残し、愛に生きると」

「さようでございます。我が国は未だ不安定、このような国に関わっては彼女も危険にさらされます」

「愛する者を守りたいという気持ちは理解できるが、やっと見つけた国を救う術を女ひとりのために失えというのか」

「裏切り者よ、誇りも刃も失った腑抜けものよ、とそちの名は嘲笑をもって語られることになるだろう。……それでもか」

「それでも、この国は魔法に頼ることをやめなければなりません」

 


女王の魔力の低下で、やっと科学技術や他国への関心が向いてきたというのに、ここでまた魔法に頼ったらまた元に戻ることになる、とカミュは言います。

それでは国のためにはならない。女王のためにも、春歌にもならない。ならば、ただひとりが国のために犠牲になる悪習をとりはらってしまおう。国をでてカミュが春歌の曲を歌えば、少なくとも女王の魔力は回復する。しかし、それに捕らわれるのではなく、これからはそれ以外のことで国を守れるようにと、女王も幸せになれようにとおもったのだとおもいます。国のために春歌のために国をでたのだとおもいます。

 

このことで、カミュは一体なにを失ったのだろうと考えたんですけど、結局そんなに変わっていないんじゃないかとおもうんですよね。A√で歌われる「純潔なる愛-aspiration-」は、爵位を、祖国シルクパレスを、女王を捨て、愛に生きると誇り高く歌った歌です。今までの自分のなにもかも捨てて、ただの男になる。ただのカミュになる、と。そう歌った曲です。一度聴いてもらえばわかりますが、これほどまでに恋への敗北を高らかに誇らしげに歌った曲はきっとどこにもありません。

歌詞のなかで「過去も今もなにもかも誇りある地位も捨てよう」と歌っていますが、過去は春歌が取り戻させてくれたし、今は春歌と共にあるし、誇りある地位は女王が預けてくれた。ただ、カミュは一度言ったことを決して曲げるひとではないので、ほんとうに国に戻るつもりはないんだろうなとおもいます。

春歌も言っていますが、この人のほんとうの高貴さと気高さはその魂と在り方にあるので、例え爵位を失ったとしても、その誇り高さとカリスマ性は失われないのだろうとおもいます。

父の誇りも母の犠牲も兄との争いも無為になるから、そうならないために全部背負って女王の剣として生きていくつもりだったのに、それらすべてを捨ててもいいほど、春歌を、女王を、国をおもって愛していたんだな、とおもうと、余程の覚悟だったんだな、とおもいます。 でもなぁ、二度と戻らないと言っているわけじゃないから、観光客や来賓客としてくるのはできますよね。伯爵の位も失ったわけではないし。というか、あの女王ならやりそう。魔法に縋るのではなく産業や発展してある程度目処が立ったときに、しれっと来賓客として招きそう。 カミュも、あれだけ大切にしてきた国だし女王だから、すぐに忘れたりすることなんてできないだろうし。その辺りは春歌もわかってそうだよなあ。 必ず幸せになること、爵位と名前しか与えられなかったのだからそれだけは返還を許さぬこと、どこへ行っても誇り高きシルクパレスの伯爵であり続けることを命じて、女王はカミュを見送ります。

そして、もう一度青の間にいき、思い出の断片をなぞっていると、婚約をなかったことにしてくれ、と言われます。騙し討ちに近い形での婚約ではなく、きちんとプロポーズをしたい、からと。

 

「皆に祝福されるような伯爵夫人にはしてやれぬ。国にも帰れぬ裏切り者だ。歯の浮く台詞を言うのが俺の仕事だ。だが、今の俺にはなにも言えぬ。必ず幸せにしてやるとすら誓えない。だけど、共にいたい。信じてついてきてほしい」

「お前がこうして存在し、俺を愛してくれることで、どれだけの幸福を与えられているかわからぬ

「だからこそ、もっと幸せにしたい。そして、俺も幸せになり

「お前が俺を俺にしてくれた。個人としての喜びも、望みも思い出もお前が取り戻させてくた」

 

女王一筋であったカミュが、自分から幸せになりたいと言えるようになったことだけでも素晴らしいことですが、今まで個人の喜びなどを考えてこなかったひとが、一度恋に落ちただけで個人をとり戻し、幸せになりたいとまで言えるほどになるのだから、恋とはほんとうにすごいものです。

 

おそらく、カミュにとって春歌は「女王の剣ではなく、伯爵のカミュでもなく、ただのクリスザードっていう自分をあげたひと」なんだろうとおもいます。

なんかさ~~~~もうさぁ~~~人格をあげたとかさぁ~~~~~~~~絶対的じゃん至高じゃん揺るぎないじゃん……………………。性癖ここに極まり。


 

「お前はもっと主張してもいいのだぞ。せっかくの名前を使わぬではないか」

「国のことなどより、自分だけをみてほしい、と憤る権利もお前にはある

「寂しくないわけではありませんが、そんなこと大丈夫なくらいたくさんの幸せをいただきましたから

「しかし、それだけではお前だけに負担を強いることになる」


 

じゃあ、ずっと経っておじいさんになったら「お前だけだ」って言ってください、と春歌は言います。何年も経って、お仕事も引退して、ただのカミュ先輩になって、そしたら、わたしだけのものになってください、と。

その頃には、お前も作曲より俺を優先してくるか?と言うカミュに、口ごもる春歌をみて、これは望み薄そうだ、とカミュは笑います。

 

たしかに「なぜこんな国に連れてきたのか」とか「部下の管理がなってない」とか、難癖つけることはいくらでもできたはずです。でも、春歌はそうしなかった。それにもまた、カミュは救われていたのだろうとおもいます。

 

最後に、春歌はカミュから名前をもらいます。シルクパレスでは、婚約の証に「その人のための存在になる特別な名前」をつける習慣があるのです。それを贈りたいと言います。それを呼ぶときだけは、その人のためだけの存在になる。カミュのための、カミュのためだけの存在になる名を。 何度も何度もその名前を呼び、それに答える春歌……。

おそらく、冗談半分本気半分で何度も名前を呼んでいるような気がするのですが、自分がつけた名前があるってことが嬉しくて何度も呼んでいるっていうのもあるような気がします。発音とか、言葉が持つ温度とか、響きとか、そこに込められる気持ちとか、そう言ったことを味わいたくて何度も呼んでいるような気がする。

ED後、アレキサンダー視点で、春歌の名が花の名であることがわかります。永久凍土の異国の地、シルクパレスに咲くちいさく強く、かすかに甘い香り放つ雪のような花。

 

さらに、カミュは言います。

 

 

「今一度、この家に住む気はないか?」

「これから先、国の者がどう動くかわからぬ。お前の安全を考えれば、その方がいいだろう。早乙女は反対するかもしれぬが、事情が事情であるし」
「つまり、お前と暮らしたい。お前がおらぬと、俺が落ち着かぬ。……頼む」

 


はああ~~~~~~~~なんですかこれ、もうだめです、だめ。

もうね、ほんとうに何度も言いますけど、わたし、位の高いひとが愛するひとの喧嘩をしたり機嫌を損ねたりしたときに「…俺が悪かった、許してくれ、春歌」とか「その、頼む…お前にしか頼めないのだ」とか言うのすごく好きでしてね……。普段はそうでもないのに、愛するひとには頭があがらないというか、非礼を詫びるに膝をついて謝ったりするとか、すごく好き……主従厨萌え。

 

その後、婚約指輪がわたされたこと、一緒に住むことを了承したことがわかります。

 

カミュ春早く結婚して。

 


にしても、やっぱりカミュはわかりにくいです。「わかにくようで」「わかりやすくて」「わかりにくい」です。話し方が仰々しいからある程度噛みくだかないとうまく消化できないし、カミュのことを理解するには時間がかかるなぁとおもいます。一度理解してしまえば読みとるのは早いんですけど。言葉より前に表情や態度にでることが多いし、でも言葉にしなきゃいけないことはきちんとしてくれるから「任せて大丈夫」って安心できる。

 

なんだか盛りだくさんになってしまいましたが、以上です!!個人的にはASASのレインボー√みたいな先輩組も欲しいので、そのあたりよろしくお願いいたしますブロッコリーさん!!!!